第155回定例研究会 プログラム 日時: 平成29年11月1日(水) 会場: 日本大学 理工学部 駿河台キャンパス1号館121会議室 テーマ「水素に関する基盤研究開発 ~水素分離膜、水素吸蔵合金、材料分析~」 13:30~13:35 開会の挨拶 HESS企画委員長 高木英行氏 13:35~14:10 「V合金膜を用いたエネルギーキャリアからの水素分離技術基盤の確立」 (国研)物質・材料研究機構 研究企画部門 部門長 西村 睦 氏 水素のエネルギーキャリアとして重量エネルギー密度の高いアンモニアやメチルシクロヘキサンが 注目されており、最終的に燃料電池に用いるためには高純度水素を分離・精製する必要が ある。我々はJST-CRESTのエネルギーキャリア領域において、我々の独自シーズであるV合金膜を 用いて、上記エネルギーキャリアの分解で生じる混合ガスから水素のみを分離・精製する技術の 確立に取り組んでいる。その進展状況の一部を紹介する。 14:10~14:45 「放射光および中性子を利用した水素貯蔵合金の構造評価と高性能化に向けた研究」 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学研究部門 関西光科学研究所 放射光科学研究センター 上席研究員 町田 晃彦 氏 放射光X線と中性子を横断的に活用し、水素貯蔵合金の構造変化から高性能化に向けた知見を得るための研究開発を実施している。短距離から中距離のナノレベルでの原子相関の変化に注目した、水素吸蔵放出サイクルによる劣化に関わる特徴的な局所構造の変化に関する研究を紹介するとともに、それらの構造変化を水素ガス雰囲気下においてその場かつ時分割で測定するための技術開発についても紹介する。 (14:45~15:00 休憩) 15:00~15:35 「高強度中性子全散乱装置NOVAによる高密度水素化物の構造研究」 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 特別准教授 池田 一貴 氏 中性子は物質中における水素の位置や状態を高精度で調べることに適したプローブである。大強度陽子加速器施設(J-PARC)の高強度中性子全散乱装置(NOVA)を使用した高密度水素化物のその場測定や局所構造解析などについて紹介する。 15:35~16:10 「水素吸蔵合金の現状と今後に向けた研究開発」 (国研)産業技術総合研究所 創エネルギー研究部門 総括研究主幹 中村 優美子 氏 産総研創エネルギー研究部門では、金属系水素貯蔵材料(水素吸蔵合金)の研究を長年行っている。金属系材料では、水素は結晶格子の格子間位置に入って水素化物を生成するため、材料の構造が水素化特性に深く関わっている。本講演では、材料特性を理解するための結晶構造・局所構造の解析とそれに基づく材料の探索・開発・応用について我々の研究内容を紹介する。 16:10~16:45 「水素吸蔵合金を用いた昇圧技術」 広島大学 工学研究科 教授 市川貴之 氏 水素吸蔵合金は、van’t Hoffの関係によって,わずかな温度変化によって、水素放出圧が大きく変わる特性を有する。これにより,例えば300℃程度の熱源を用いることで、数気圧の水素を数百気圧まで容易に昇圧可能となる。本講演では,水素吸蔵合金を用いた昇圧技術について,その原理と、用いる合金が高温を経た際の、サイクル特性等も踏まえて詳細に説明したい。 16:45~16:50 閉会の挨拶 HESS会長 西宮伸幸 uroku |