HESS 2015特別講演会 プログラム
                             2015年9月8日(火) 
                               日本大学 CSTホール


  テーマ「エネルギーミックス・温室効果ガス削減と各業界における動向」

12:45-13:20
   
「日本のエネルギー構造と水素社会」
    東京理科大学 大学院イノベーション研究科 教授 橘川武郎氏 

2014年に策定された新しいエネルギー基本計画は、水素を重要な2次エネルギーの一つとして、高く位置づけた。それを機に、国による「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の策定、トヨタ自動車による燃料電池車MIRAIの発売、東京都による東京オリンピック・パラリンピックを契機とする水素社会実現計画の発表など、水素活用社会へ向けた動きが、一挙に活発化した。本報告では、水素活用の意義と課題を確認しつつ、とくに今後のエネルギー需給構造の大規模な転換において、水素がどのような役割を果たすかについて光を当てる。

13:20-13:55
   
「日本の新たな温室効果ガス削減目標」
    環境省 地球環境局 総務課 低炭素社会推進室 室長補佐 安田將人氏

日本政府は今年7月、2030年度に2013年度比で26%削減(2005年度比で25.4%削減)するとの新たな温室効果ガス削減目標を含む約束草案を取りまとめ、国連に提出した。本年末にフランスのパリで開催されるCOP21に向け、気候変動に関する国際交渉は山場を迎えている。本講演では、我が国の新たな温室効果ガス削減目標と、その達成に向けた今後の取組、COP21に向けた議論の動向などを解説する。

(13:55〜14:05 休憩)

14:05-14:40 
   
「ベストミックスおよび温室効果ガス削減に向けた都市ガス業界の取り組み」
     (一社)日本ガス協会 技術開発部
     燃料電池・水素グループ 副部長 井関孝弥氏

都市ガス業界は、1969年の液化天然ガス(LNG)導入以来、最も環境性に優れた化石燃料である天然ガスの普及拡大を通じて、我が国のベストミックスおよび温暖化ガス削減に貢献してきた。現在は、ガスコージェネレーション(ガスエンジンまたはガスタービン)や家庭用燃料電池(エネファーム)の普及拡大などにより、さらなる貢献を目指している。本講演では、これまでの取り組みに加え、2030年を目標においた今後の取り組み予定について紹介する。

14:40-15:15 

   石油業界を取り巻く状況と温室効果ガス削減に向けた取組
     石油連盟 企画部 企画グループ長 須藤幸郎氏 
人口減少と少子高齢化、地球温暖化対策等の影響を受けて、引き続き国内石油需要は減少する見込み。そうした中、石油業界は、 精製能力の最適化と競争力強化、総合エネルギー産業化を目指した取組みを進めている。さらに、2011年の東日本大震災以降、製油所の強靭化、災害対応能力の強化にも取り組んでいる。地球温暖化対策については、2030年の低炭素社会実行計画を策定し、製油所の省エネ、バイオ燃料の導入拡大にも取り組んでいる。

(15:15〜15:25 休憩)

15:25-16:00 
   「自動車業界を取り巻く状況とFCVのポテンシャル」
    (国研)産業技術総合研究所 名誉リサーチャー 後藤新一 氏
 
世界における自動車生産状況とその将来生産予測、及び原油価格のトレンド分析から、将来の各種代替燃料の可能性について考察する。また、2014年末に燃料電池自動車が実用販売されたことに伴い水素価格も設定された。今後、水素価格が原油に対抗できるかどうか熱効率も含めて考察する。更に、エネルギーキャリアとしての水素の燃料貯蔵技術開発プロジェクトのシナリオ検討について概要を紹介する。


16:00-16:35 
   「高温ガス炉と水素製造技術の開発状況」
     (国研)日本原子力研究開発機構 原子力水素・熱利用研究センター
     副センター長 稲垣嘉之氏 

高温ガス炉は、炉心の主な構成材に黒鉛を中心としたセラミックス材料、冷却材にヘリウムガスを用いた固有の安全性に優れ原子炉であり、かつ、水素製造などの多様な熱利用が可能な特長を有することから、エネルギー基本計画ではその開発を推進するとしている。将来の水素社会に向けたゼロエミッションの原子力水素製造技術として、高温ガス炉と水の熱化学分解による水素製造技術(熱化学法ISプロセス)の開発状況について紹介する。

※講演時間は質疑応答の時間を含みます。