HESSの紹介 歴史・設立趣意・活動趣旨
水素エネルギー協会の歴史
設立:1973年(昭和48年)7月17日
歴史:
エネルギーとしての水素の利用が将来の夢とされ、一般社会では話題にも上がらなかった1973年に、将来起こるであろう地球環境問題やエネルギーの安定供給の問題を予測し、水素エネルギーをそれらの問題の有力な解決手段と位置付けて重要性を深く認識し、研究開発を推進するために同心の士を募って水素エネルギー研究会(後の水素エネルギー協会)が設立された。発起人は横浜国立大学名誉教授太田時男、東京大学名誉教授赤松秀雄、名古屋大学名誉教授伏見康治など錚々たる人達であった。
設立当初は大学関係者が中心であったが、その後産業界から各社が参加するようになった。また当時世界でも水素技術の研究が各所で行われるようになったので、我が国の水素エネルギー協会や米国マイアミ大学ベジログル教授、独国シュツットガルト大学ヴィンター教授など世界の水素技術の研究者が協力して、国際水素エネルギー協会(IAHE: International Association for Hydrogen Energy)を設立した。
2010年7月28日、法人格を取得して一般社団法人水素エネルギー協会となる。
設立趣意
化石燃料の枯渇化をほぼ半世紀の後に控え、この予想にもとづく経済効果はすでに種々の形で現れているといわれます。また、化石燃料の燃焼による汚染で地球は人間の住める天体としての条件を失いつつあることは周知のとおりであります。
かくて、石油経済の黄金時代は倫安の夢と過ぎ去り、クリーンエネルギーをシステムとして系統的かつ綜合的にもくるむことは、わが国のように人口密度が大きく、高度の工業国にとっては、まさに、その存否をかける大問題となってまいりました。
このような情勢のもとで、われわれは、例えば1次エネルギーを太陽と核などに求め、2次エネルギーを電力と水素で支える、そのような理想的なクリーンエネルギーシステムをわが国の社会、風土に適した形で確立できるように調査し、研究することが急務であると考えます。
また、水素エネルギーシステムに適合した工学や工業の学理と技術についての研究をはかるとともに、これらの重要性について一般の認識を深めつつ、各界に、問題解決についての協力を強く訴えたいと思います。
エネルギー問題やその関連分野に関心をもたれる総ての方々が、この趣旨に賛同され、ご協力下さらんことを心から希望してやみません。
昭和48年7月17日
発起人一同
活動の趣旨
化石燃料消費の増大に起因する地球温暖化問題が世界共通の重要課題となり、二酸化炭素の排出量削減が求められている。このため、自然再生エネルギーの導入や二酸化炭素の回収・貯留技術の導入が求められている。 水素は各種の自然再生エネルギーや化石燃料から製造可能であることから電力とともに地球環境保全が可能な二次エネルギーであり、持続可能社会を実現できる可能性を有することに導入の意義がある。
しかし、水素を大量に導入できる水素エネルギーシステムを構築するには多くの課題の解決が必要となる。重要な鍵を握る技術課題の解決には、サイエンスとエンジニアリングの英知を集めて対応する必要がある。また、市場導入に際しては社会システムの変革をも必要となるので産・官・学が連携して問題解決に当たらねばならない。
水素エネルギー協会は水素・燃料電池技術の研究開発に寄与する活動のほか、水素エネルギー技術が研究開発段階から脱皮し、大きな産業に発展する可能性を有することを社会に発信して産・官・学の連携による水素エネルギーの導入・普及に貢献すること、海外の団体や学会などとの交流や連携によって情報の共有や相互支援を行うことなど、水素社会の構築に向けた幅広い活動を行うことを目指している。