定例研究会
第163回定例研究会
プログラム テーマ「水素エネルギーに関する最近の研究開発」
15:00〜15:05 開会の挨拶 坂田会長
15:05〜15:35
「多元素合金を駆使した高効率脱水素触媒システムの開発」
北海道大学 触媒科学研究所 准教授 古川 森也 氏
メチルシクロヘキサン(MCH)は水素キャリアの一つとして有望視されている。本研究ではPt, Fe, Znの3種類からなる規則性合金Pt3(Fe0.75Zn0.25)を触媒に用いることで、MCH脱水素において高い活性(MCH転化率99%)、選択性(トルエン選択率:99.8%)、耐久性(320℃,
50 h安定)が得られることを見出した。講演では触媒の高性能化に対する3種類の金属の役割について詳細に解説する。
15:35〜16:05
「Toluene水素化プロセスにおける副生成物生成量予測モデルの構築」
(国研)産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所
水素キャリアチーム 研究員 熱海 良輔 氏
Toluene水素化プロセスにより、水素キャリアとしてのMethylcyclohexane (MCH)を合成する際には、キャリア損失低減の観点から副生成物の生成を抑制することが重要である。最適な水素化プロセス操作条件を探索するために、反応器シミュレータおよび副生成物予測モデルを構築した。予測モデルは半経験的モデルまたは多層ニューラルネットワークにて構築した。この予測モデルにより高精度な副生成物量の予測が可能となったので報告する。
16:05〜16:35
「添加物による水素貯蔵材料の反応速度向上とその機構」
北海道大学 工学研究院 材料科学部門 准教授 礒部 繁人 氏
水素を安全かつコンパクトに保存・輸送する方法の一つに、水素貯蔵材料を用いることが挙げられる。これまでに様々な水素貯蔵材料について国内外問わず研究されてきた。本講演では、水素貯蔵材料の性能向上を目的とした添加物効果に関する研究をいくつか紹介し、中でも構成元素にリチウムを含む錯体系水素貯蔵材料の添加物効果とそのメカニズムについて詳しく報告する。
16:35〜17:05
「高圧水素ガス環境中で使用される構造材料に関する研究開発動向と今後の 課題」
九州大学 大学院 工学研究院 機械工学部門 教授 松永 久生 氏
水素ステーションや水素燃料電池自動車においては種々の部材が高圧水素ガス環境に曝される。それらの強度設計においては水素による強度特性の低下、いわゆる「水素脆化」が問題となる。本講演では、種々の構造材料の水素脆化特性を概観するとともに、材料選択や強度設計に関する最近の研究動向や今後の課題について概説する。
17:05〜17:15 開会の挨拶
座長 (国研)産業技術総合研究所 高木 英行 氏
※質疑応答時間を含みます。
10月30日(金)
オンライン開催(Zoom)